ある詩。

ゆうべ、ふと思い出した。

南アフリカでアパルトヘイトという人種隔離政策が行われていた時、
女性たちが声をあげていた。
その一人グシナ・ムショベという女性の詩が、わたしにとって
大事なものとなったこと。
そしてそれを多くの人に知らせていたこと。
でもある頃から、彼女の詩がしっくりこなくなったこと。

アパルトヘイト下、女性たちは表現することを抑圧されていた。
カラードの中で黒人が一番差別されていたわけだけれど、
その黒人のなかでもさらに差別があって、
黒人男性は黒人女性の自由をさらに奪っていた。
女性が詩や小説を書くことは許されておらず、彼女たちはこっそりと
仕事や家事の合間に公衆トイレなどに駆け込んで、そのなかで
詩や小説を書いていたという。

だから、女性たちは「怒り」で声をあげたのだと、当時のわたしは感じ
それが女性にとっての大事な闘いだと考えていた。
けれどそのうちに、「怒り」からは何も解決しないと思い始めて、
この詩を自分の中で封じたこと。

そして夕べ、この詩をふと思い出し、とつぜんだけれど、
「怒り」ではないのだと「わかった」こと。
彼女たちは怒りよりも自分たちの尊厳、生きているということを
主張したのだと。
あまりにも突然のことでちょっとびっくりしている。

<補足>

彼女の詩は今、ネットで検索してもなかなかでてこなくて、
しかたなく当時のわたしのブログを引用しておくことにした。
(著作権に触れるかもしれないけれど・・・)


2006年 ブログより

>1990年の『差別とたたかう文化』 同時代を撃つ南アフリカの文化

>という雑誌からの引用です。




    ちがうと言おう     グシナ・ムショぺ

 ちがうと言おう 黒い女なら
 ちがうと
 やつらが職のないあなたの息子を
 ちんぴらと言ったら
 ちがうと言おう・・・
 やつらが
 60になるあなたのつれあいを
 boy(おまえ)と言ったら
 ちがうと言おう・・・
 やつらが
 あなたの娘を
 拘禁し強姦したあげくに
 淫売と言ったら
 ちがうと言おう・・・
 やつらが
 あなたの白人の男の仲間を
 Baas(ご主人様)と言ったら
 ちがうと言おう・・・
 やつらが労働組合員を
 テロリストと言ったら
 ちがうと言おう・・・
 そう黒い女なら
 大声でちがうと


            山田裕康訳
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by hamuneko7 | 2018-10-31 08:00 | 日常の些細な出来事 | Comments(0)

ゆっくり,ゆっくり。


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